ほっこりチェコ絵本

心の隅っこをキュっと掴むモノと出来事。

チェコ絵本挿絵☆パツォフスカー 画家としての世界

 

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展覧会「maximum contrast」画集表紙

こんにちは、もりのさんぽです。

 

前回、パツォフスカーさんの挿絵ってこんなんよ💛って話を書きました。

今日は2015年ー2016年と2019年ー2020年にプラハで行われた、彼女の2つの展覧会をご紹介します。

私個人は、絵画が好きでよく鑑賞するのですが、専門家ではないので専門的表現はできません。

それでも、パツォフスカーさんの作品の魅力をお伝えできればなぁと思います。

 

 

1. 色が躍る、なんだか楽しい💛「maximum contrast」2015年11月11日ー2016年3月27日

パツォフスカーさんは、プラハ工芸美術大学(Vysoká škola Uměleckoprůmyslová/ ヴィソカー・シュコラ・ウムニェレツコプルーミスロヴァー)で、チェコキュビズムの巨匠であるエミル・フィラ(Emil Filla)の下で学びました。

その芸術家としての歩みが凝縮された魅力満載の展覧会が、「maximum contrust」。

 

会場は観光地ど真ん中、プラハ市図書館本館内にあるプラハ市ギャラリー。

1967年から2014年までの作品群に埋められた会場は、はっきりした色が、鑑賞者に寄り添うような人懐こさで踊っていました。

パツォフスカーさんの作品は、幾何学的絵画の技法に基づいていて、シンプルなライン、はっきりした色で構成されています。絵画だけでなくオブジェもありましたが、そこで使う材料も様々。

制作年代ごとに、画集から少し紹介しますね。

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展覧会「muximum contrust」画集より:リトグラフ、1980年

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展覧会画集より、左:ワイヤーによるコラージュ、1990年 右:鋼鉄のリングによるコラージュ、1991年

 

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展覧会画集より、アクリルとチョークによる、1997年

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展覧会画集より、指で描いた絵、2007年

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展覧会画集より、左:彫刻、アクリルペイント、1994ー1997年、右:「わっかをつくる」、彫刻プロジェクト、アクリルペイント、2013年




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展覧会画集より、「区分け」、アクリル、2013年

 

年代問わず一貫したものを感じませんか?

イラストにあるのと同じような画面の奥行き、そのシンプルな構成でかえって色が引き立つため、強烈な印象を受けます。

 

彼女の作品を知ったのがイラストからだからかもしれませんが、直線と点、色で構成された世界に、遊び心と温かさを感じます。 

2. 不思議な奥行きの世界…「UTÍKEJTE NA KONEC/ RUN TILL THE END」2019年10月2日ー2020年3月1日

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UTÍKEJTE NA KONEC

そして、今年春まで5か月間ほど開催されていた展覧会。この展覧会は、「maximum contrust」で紹介しきれなかった初期の作品をフィーチャーしたものです。
1960年から70年代にかけての作品群で、過去1度しか展示されていなかったもの。
パツォフスカーさんのファンにとっては、必見でした。

 

作品の多くが、実験的コンセプトを持つ、ドライポイントによるエッチング。当時、作品に用いる材料を製鉄所へ買いに行っていたそう。購入した時点から材料についていた傷も、素材のもつ物語の一部として生かされています。

 

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展覧会風景1

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展覧会風景2

見ていると、線画を施していない部分に空間を感じるんですよね。パツォフスカーさんを「色彩の魔術師」と評している記事を見たことがありますが、どちらかというと「空間の魔術師」と呼びたくなります。絵の施されていない空間に、何かが隠されているような気がします。

 

3. とにかくカワイイ!2000年以降の絵本作品「THE SUN IS YELLOW」

チェコイラストレーター_パツォフスカー_THESUNISYELLOW

THE SUN IS YELLOW

 

ここで、挿絵に話をもどして。

じゃーーん!

結構最近手に入れました。パツォフスカーさんの仕掛け絵本

「THE SUN IS YELLOW」

2012年にイギリスの出版社、TATEから出版されたものです。

なぜか最近、チェコではあまりパツォフスカーさんの挿絵で絵本がでてないんですよね⁻;)。

モノクロの世界に入り込んだカタツムリが、カエルと一緒に色を見つけるお話です。

ちょーーっとだけ、ご紹介💛

パツォフスカー絵本_THESUNISYELLOW_モノクロ

絵本「THE SUN IS YELLOW」より

「こんな白と黒ばかりの世界なんて!」

パツォフスカー絵本_THESUNISYELLOW_仕掛け部分1

絵本「THE SUN IS YELLOW」より 仕掛け

「色の下に何か隠れてるよ」

パツォフスカー絵本_THESUNISYELLOW_仕掛け部分2

絵本「THE SUN IS YELLOW」より 仕掛け2

「色のある世界はなんてすばらしいんだ!」

眺めているだけで幸せになる本です💛

初期のイラストより、色味がはっきりしています。

パツォフスカーさんは、「絵本は子供にとって初めてのギャラリー」と考えていらっしゃるとか。こんなギャラリーに巡り合えたら、子供の好奇心掻き立てちゃうこと間違いなし。

 

4. 終わりにーパツォフスカーさんって一体…。

パツォフスカーさんって、キャリア長いと思いませんか?

1960年代から画家として活動されてるんです。

気になりますよね~~、どんな方か。

こういう方です↓

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「maximum contrast」展覧会画集より パツォフスカーさん

1928年生まれ。なんと、今年2020年で御年92歳です。

すごい!かっこよすぎる…。

 

今回、改めてパツォフスカーさんの作品を見直してみて、ますまずほれ込んでしまいました💛

 

こんな感じでチェコの絵本挿絵の作家さん達をたくさん紹介していきますね!

あー、自分でも楽しみ^^)