ほっこりチェコ絵本

心の隅っこをキュっと掴むモノと出来事。

チェコのクリスマスクッキー☆ロフリーチキ

 

 

チェコのクリスマスクッキー_ロフリーチキ

クリスマスクッキー☆ロフリーチキ

お久しぶりにございます。
Morinosanpoです。


あっ!

という間にもう12月。12月のチェコの主婦はいそがしいんですよ~。特にクッキーづくりで。チェコはクリスマスにクッキーを作ります。それも、狂うほど大量に。そして、クリスマスイヴから新年10日くらいまでかけて、家族皆でずうっとそれを食べ続けるのです。そんなクッキーには、今は意識されてませんがきちんと意味があったんですって。

今回はクリスマスクッキーに秘められた意味と、レシピをご紹介💝

 

1. クリスマスクッキーの意味

まずはちょっと宗教の話から。キリスト教は、土着の宗教儀式にキリスト教の意味をかぶせ、儀式への抵抗感を少なくしてキリスト教を一般に広めました。クリスマスも同じ。クリスマスの時期は冬至とかさなります。一日の長さがその日を境に長くなってゆく。太陽は命の源ですから、ケルト人は日が長くなることで生き物に力が与えられると信じていました。だから、ケルト人には冬至を祝う習慣があったんだそうです。そこへキリストの降誕日を重ね、祝うようになりました。

クッキーが焼かれるようになったのは16世紀ごろからだそうです。今のクッキーとは似ても似つかなかったようで、ここに土着宗教の影響が残っています。クッキーに豊穣や健康への祈りを込めていたんです。動物の形には家畜が健康でよく繁殖するよう願いをこめ、太陽をかたどった丸い形には命、光、明るさの意味を込めました。今のようなクッキーに近づいてきたのは19世紀に入ってからのことのようです。

冒頭に、「狂うほど大量に焼く」と書きましたがその種類も多く、普通7種類ぐらい、多いところは14種類、場所によっては30以上だとも聞いたことがあります(ちなみに、私はいつも5つくらいで挫折します)。元々は意味があって、たくさん作って年末年始をかけて食べる…日本のおせちとにてますよね。

 

2. ヴァニルコヴェー・ロフリーチキ

クリスマス・クッキーの中でもトップスリーに入る人気のクッキーが、ロフリーチキ。端っこが細くなっていて角(Roh/ ロフ)のような形をしていることから、ロフリーチキという名前がついています。ロフリーチキにもいくつか種類がありますが、我が家でよく作るのはヴァニルコヴェー・ロフリーチキ。「ヴァニルコヴェー」は、「バニラの」という形容詞。その名の通り、バニラ風味です。たくさんの胡桃の粉を使うので、ほろほろ、濃厚なお味。表面に絡める粉砂糖のくちどけの優しさもたまらない一品です💛

ロフリーチキはウィーン発祥。その昔、オスマン帝国の軍隊をウイーン近郊で打ち破ったことを祝し、オスマン帝国の旗にある半月を模したクッキーが焼かれ始めたのだそうです。ですので、オーストリアハプスブルク帝国の領土だった国-中欧から南、イタリア南部にかけてみられます。更にはお隣ドイツ、特にバイエルン州でも焼かれているそうです。


さてさて!

ようやくレシピをご紹介です!

 

3.ロフリーチキの作り方

1)胡桃を集めよう

ロフリーチキのために、まずは胡桃を集めます。…そう、集めるんです。お家に胡桃の木がないかぎり。
庭に胡桃を植えているお宅が多いチェコ。皆立派な大木になっていて、枝は道路の上に覆いかぶさっていることが多いので、秋になると路上にぼたぼたと落ちているのですよ。それを、犬の散歩がてら拾って歩く。木の持ち主も黙認です。というか、これを拾わないと胡桃が車に踏みつぶされて、家の前が悲惨なことになります。木の持ち主が収穫しているそばを通ると「持っていくかい?」と声をかけてくれたりします😊。これがチェコ流の胡桃の手に入れ方です。

2)胡桃を加工する

胡桃たち、チェコクッキーへの道

せっせと割るぞ…


胡桃割りはどのお家にも必須の道具。これをつかって一個一個割ってゆきます。見事半分に割れれば、殻をお舟にしてクリスマス特有の占いもできます。

割った胡桃は、煎って、渋皮をはがして、肉たたきでたたいて粉にします。この工程が一番時間かかるんですよね…💦

3)材料(50個分ぐらい?)

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ロフリーチキ材料

(クッキー生地)          (焼き上がり後にまぶす粉砂糖)

薄力粉 280g            粉砂糖+バニラ砂糖

バター 200g

卵の黄身 2個

粉砂糖 80g

砕いた胡桃 80g

バニラエッセンス 2,3滴

レモンの皮のすりおろし 少々

 

チェコではおかしづくりにバターではなくHeraという植物油を使うことが多いのですが、ここはリッチな風味のためにバターをチョイス。

☆焼き上がりにまぶす粉砂糖に、バニラ砂糖は欠かせません。それって日本にも存在するのかしら💦。バニラの甘い香りが案外ポイントだったりします。

 

4)手順

①バターを粉砂糖と合わせてクリーム状になるまで練る。バターは1時間前ぐらいに冷蔵庫から出して、室温に戻しておくとやりやすいです😉

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②そこへ卵の黄身を投入、混ぜる。レモンの皮も入れて混ぜる。

③さらに薄力粉と胡桃を合わせたものを入れて、混ぜる。すると、胡桃の香りがふわん💗として、もうおいしそう😍

④混ざったところでバニラオイルを垂らし、混ぜる。出来上がった生地はラップにくるんで1日以上冷蔵庫で寝かせます。バターが多めなので、しっかり冷やして固めてください。

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粉と混ぜる。

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胡桃の粉末♡

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混ぜあがり。

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さあ、お休み~~!

⑤成形。バターが多いので、生地がまな板にくっつかないように小麦粉をぷふぁん!と撒いてからにしてくださいね。まずは直径2センチほどのボールを作る。そのボールを広げた手でまな板の上に転がしながら細長い円筒形にし、更に端に若干の力を加えつつ転がしながら、両端が細く角状になるように。それができたら、弧を描くような形にして天板に並べて行く。

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成形って楽しいよね💦

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これからオーブン!

⑥180℃に予熱したオーブンで10分ほど焼く。焼いている間に、ロフリーチキのお洋服の準備。粉砂糖とバニラ砂糖を混ぜる。

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これが、バニラ砂糖。

⑦クッキーの両端がうっすらキツネ色になったら出来上がり。オーブンから取り出し、数分置いて若干温度を下げた後、粉砂糖の中に転がしてお洋服を着せてください。冬のお菓子!って感じの、白くふんわりした風情のクッキーの出来上がりです。

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さ、お洒落の時間。

チェコクリスマス_ロフリーチキ

完成~~!

4.いっただきまーす

そうそう、沢山つくるクッキーには作る順番があるんです。長く寝かせておいた方がしっとりとおいしくなるものから先。クリスマス寸前には、焼かないで作るお菓子を作ります。ロフリーチキは遅くとも3週間前までかな。

できてすぐを食べてみると…今年の子達、出来がいいかも~~!

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ほろり。胡桃の濃厚さ、ふんわりした甘さ…

ほろり感がたまりません。見た目こんな感じ

クリスマスにはどんなお味になってるかな😁

とってもおいしいクッキーなので、是非皆さまお試しあれ💛