チェコイラスト☆イジー・シャラモウン その2
さて、今回はアニメ「Maxipes Fík /マクシペス・フィーク (ウルトラサイズドッグ・フィーク?)」の生みの親、イジー・シャラモウンさんをご紹介!
1.プロフィール
1935年生まれ(現在85歳です。初回にご紹介したパツォフスカーさんは90歳。チェコの現役イラストレーター、グラフィック作家さんの方々、ご高齢でもパワフルです!!)。
プラハの造形美術アカデミーを卒業されてから、ライプチヒの視覚芸術大学で学んでおられます(ドイツでも歴史ある芸大だそうですね。ドイツ語、チェコ語から直訳すると「グラフィック・ブックアート大学」って感じでした。)
1990年から2003年まで、プラハの美術工芸アカデミーのイラスト・グラフィック・アトリエで教鞭をとっていただけでなく、諸外国でも教えた実績のある方です。
なんと、5か国語を話せるとのこと…国際派です。
2.作品数が半端じゃない!
私がシャラモウンさんの作品を意識したのがいつだったか、実はあまり覚えていないのです。いつの間にか知っていた、というのが正直なところ。というのも、その作品の数がすごいのです。現在までに80冊以上の本の挿絵を手掛け、自著も20冊ほどだされています。更に映画のポスター、アニメーションと幅広く活躍されています。つまり、意識しなくても作品が目に入ってくるんですね💦
例えば、これ↓。
チェコではとても有名な、医学生が医者になり、大人になっていく過程を描いたコメディ映画「Jak básníkům chutná žívot/ 詩人たちはどう人生を楽しむか」(1987年)のオープニングのアニメーションも担当されています。こんな感じで、生活の様々な場面で目にすることのできるシャラモウンさんの作品たち。
その功績が認められ、2019年にはチェコ・デザイン・グランプリで殿堂入りをされています。
3.展覧会
最近では、80歳になられた5年前にオロモウツという町で展覧会を開かれました。残念ながら当時娘がまだ小さく、オロモウツまで見に行くことができませんでした(公共交通機関を使うと、プラハから3時間近くかかります)💦
ですが、2000年から2001年にかけての冬にプラハで行われた小規模な展覧会「RECIDÍVA(逆戻り)」を訪れたことがあります。シャラモウンさんの作品は頻繁に、「遊び心ある」「ユーモアにあふれた」と評されます。一見、子供の絵のようなラインは、逆に対象の裏の部分まで表現しているようでもあり(ある時には性的なニュアンスも濃く感じる)、正直、初めはその表現の強さに押されてしまい一歩引いてしまっておりました⁻:)
フィークの絵も、先ほどご紹介した映画のオープニングもユーモアや愛らしさたっぷりなのですが…。こんな絵も描かれます↓
これは民謡集。ちなみに、20世紀初めごろに集められた民俗資料をみると、当時の田舎の自然と共にある生活とその陰の部分が感じられるのですが、そんな世界が土台になっていることを感じさせる挿絵です。
4.シャラモウン家
シャラモウンさんの奥さんはEva-Natus Šalamounová(エヴァ・ナトゥス・シャラモウノヴァー)。ドイツの方です。2014年にお亡くなりになっていますが、グラフィック・アーティストとして、シャラモウンさんと同様に幅広く活躍されていました。
一人娘のBarbora(バルボラ)さんもイラストレーター、グラフィック・アーティストとして活躍中。きっと、親子のつながりの強いお宅なのだろうなと想像します。
5.まとめ
底力あるシャラモウンさんの絵。だからこそ「フィーク」は、子供むけアニメ番組でも人気シリーズとなったのだと納得させられます。ちなみに、フィークの物語の舞台となったAhníkov(アフニーコフ)という村は昔存在していたそうで、その村があった現在のKadaň(カダニュ)には、フィークの記念碑があります。