チェコの伝統菓子☆ペルニーク作家さんの世界
こんにちは!
一年のうちで最大のイベント、クリスマスが終了しました。コロナ感染拡大防止対策のため今年はクリスマスマーケットのないプラハ。ですが、そんな状況でも例年とほぼ変わらずクリスマス準備に忙しくしておりました。
忙しい理由の1つが、クッキーの準備。チェコではクリスマスに向けて、ケーキではなくクッキーを焼くんです。2019年の我が家のクッキーたちはこちら↓
その種類たるや…。人によりまちまちなものの、7種類、10種類、はては20種類以上作るツワモノもいらっしゃいます。毎年、せめておとぎ話につきものの「7」の数字分は作ろうと思っているのですが(!)、なかなかそうは参りません💦子供と一緒に遊びながら作ると、どうしても5種類が限界⁻:
さてさて、それらのクリスマスクッキーの中に必ず入ってくるものの1つが「ペルニーク」です。
スパイスたっぷりで少しふんわり目な生地に、アイシングで模様を施します。基本的にお祝いの時に焼くクッキーで、クリスマスだけのためにあるではないのですが、その美しさと香辛料の香りがクリスマスにぴったり。
そんなわけで、今年は「グレーテルのかまど」でも扱っていただきました!
番組の中でも紹介された、作家のダナ・トラパーコヴァーさん。
彼女のペルニークはまさに芸術品!自然を愛する彼女ならではのデザインです。
今日は彼女の作品をご紹介させてください。
そんなわけで、本日のチェコ語講座~~!
クリスマスって単語にしましょうか。
Vánoce:ヴァーノツェ
といいます。
形容詞にするとVánoční/ ヴァ―ノチュニー。
「Vánoční stromeček/ ヴァ―ノチュニー・ストロメチェク」:クリスマス・ツリー
「Vánoční cukroví/ ヴァ―ノチュニー・ツクロヴィー」:クリスマス・クッキー
(注:cukrovíはお菓子、って感じです。クッキーを表す単語はほかにあります)
1. とにかく繊細で美しい!
キレイでしょ~~。現物を目のまえで見ると、泣けちゃうのですよ。
彼女が頻繁に使うモチーフは、レース模様、葉っぱや花びら。自然や身の回りのものからインスピレーションをもらってデザインするんですって。こんなモチーフが描けるようになりたい!と、彼女のデコレーション講座を受けたことがあるのですが、その時はパウチ加工した紙に書かれた彼女のモチーフをアイシングでなぞり、コルネの使い方を勉強しました。でも、彼女の域に達するのはまだまだ先のようです…💦
こんな感じのも、私は好き。↓
馬の蹄鉄は、幸福を呼ぶシンボルなんです。こんな美しい蹄鉄モチーフのペルニーク、玄関先に飾りたい💛
ペルニークは無茶苦茶長持ちするお菓子です。きちんと管理すれば3か月前のものでも余裕で食べられちゃいます。また、食べないで飾る目的ならば、1年でも2年でも持つんですよ~~。
娘に作ってくれたクリスマスのオブジェには、アールヌーヴォー的な模様も施されていました。
2.ダナとの出会いと彼女の魅力
ダナとはもう5年くらい前、雑誌の「チェコのクリスマス」企画でステキなペルニークを作る作家さんを探していて出会いました。
取材に行ったのがクリスマスの忙しい時期にも拘わらず、ごちそうを用意して待っていてくれたのを覚えています。明るい声のトーンでよく喋る、太陽みたいなおばちゃん。そんなダナの横で、あまりしゃべらないけれど優しく微笑みながらその場を見つめる、旦那さんのヤロスラフさん。長年連れ添ったからこそ出る味わいを湛えたご夫婦です。
自然を愛するダナにとって、ペルニーク以外の趣味が庭仕事。広いお庭には彼女が通したという小川が流れ、春から秋にかけて花々が咲き乱れています。
自然の中ですごす静かな日々から感じるものを、ペルニークの上に写し取り自分の感動を形にしているのが、ダナの作品なんです。
3.自然体の芸術家
ダナはお菓子職人の家に生まれました。若い頃はお針子さんを仕事にしていたそう。小さい時からお父さんとお菓子作りをしたという彼女は、当時からお菓子作りの技を磨いていたと話してくれました。また、お針子さんとして糸で美を形にすることを学んでいったのでしょう。彼女のそんな才能は、ペルニークに集約されています。ダナのペルニークはまるで芸術品。心からペルニークを愛して制作をしています。ペルニークに自分の世界を投影することは、彼女にとって、息をするのと同じように自然なこと。もちろん高い理念をもって挑む芸術も人の気持ちを動かします。でも、私はダナのようにモノづくりと関わる生活を最高に素敵と思うし、彼女のように生きたいとさえ思うのです。
2021年8月追記:
ずいぶん長いことブログをお休みしてしまいました。
というのも、3月、春分の日のころにダナの訃報が入ったためです。
秋に会った際、暖かくなったら会おうと約束していました。そして、この先もっと彼女を知り、また一緒に仕事ができれば…と思っていた矢先の訃報。
今でも明るい彼女を思い出して寂しくなります。きっと彼女は天国でもお花に囲まれて笑っているのだろうと信じたいです。ダナ、また会おうね!