夏だ!絵本の新作は?
こんにちは!
なんだか寒くて雨が多い😭…それでも夏休み間近。
この前まで外出制限期間2か月というお休みがあったばかりでしょ、って感じですが、チェコの学校は通常通り7月1日から夏休みに入ります 😓
例年夏休み前は新刊本が書店に並ぶ時期。
絵本もしかり!
今年はどの出版社からどんな本が出てるのかな~~💛
このブログで出版社紹介かねて夏の新刊を紹介しよう!と思っていたら。
「Festival malých nakladatelů/ 小型版元フェスティバル」なんていうイベントがあるじゃないですか(注:5月末のことでした💦)!
お気に入りの絵本出版社も出店している…行かなきゃ!といさんで行ったのに。
なにぃ~~😡!
「Festival je předčasně ukončen/ フェスティヴァルは予定より早く終了しました。」
…仕方ないので、帰り際に大きな書店に寄って憂さ晴らししてまいりました⁻;)
そんなわけで、今日は絵本業界の主な出版社の紹介と…新刊本の紹介になればいいな~~とおもいますが…新刊にはコロナの影響があるかもです💦
そうそう、そんなわけで!
突然ですが今日のワンポイントチェコ語レッスン💛
新刊、新製品、目新しいもの:Novinky (ノヴィンキ)
各出版社のウェブアドレスをご紹介しますので、Novinky探してくださいね!
- Albatros/ アルバトロス:老舗児童書出版社
- Baobab/ バオバブ:挿絵に力を入れる出版社
- Běžíliška/ ビエジーリシュカ:職人の仕事を求める出版社
- Labyrint/ ラビリント:選りすぐった書籍を出版
- MEANDER/ ミーンダー:よい書籍は後世に残る
Albatros/ アルバトロス:老舗児童書出版社
1949 年設立の、国内最大かつ最も歴史ある出版社です。
初めの20年間はstátní nakladatelství dětské knihy/スタートニー・ナクラダテルストヴィー・デェツケー・クニヒ:国家児童書出版という名称でした。現在、幼児から12歳ぐらいの子供むけの書籍を年間150冊あまり出版しているとか!
最近は流行りもの系の書籍も扱っていて、手広いだけに、むむむ?ということも多々あるのですが、王道的な絵本やアルバトロスならではの物も、もちろん扱ってます。
昔の絵本を買うと、たいていアルバトロス社のものです。
さて、新刊本はどんなのがあるかな…
…小さい子供むけのものはすくないみたいですね。挿絵の美しいものが少ない💦
気になるのは、「Ilustrovaný atlas leguračních faktů o mláďarech/ 動物の子供達の笑える生態イラスト図鑑」。
チェコ版「ざんねんな生き物図鑑」みたいです。
https://www.albatros.cz/tituly/63169641/ilustrovany-atlas-legracnich-faktu-o-mladatech/
他の新刊はこちら↓
「N」マークが新刊です。本の中身も数ページ見られるようになってます。
https://www.albatros.cz/novinky/
Baobab/ バオバブ:挿絵に力を入れる出版社
家族経営の小型出版社。2000年創立。出版社は、1990年代以降途絶えた挿絵・児童書文化を継ぐため、また若いイラストレーターたちに活躍の場を与えるために設立されたそうです。…手っ取り早く言えば、美しい絵本を世に送り出すため、だったといいます。
挿絵を重視しているというBaobabの書籍はどれも魅力的!私の最高にお気に入りの出版社です。ただ、美しいと思って手に取ると、外国の作家の作品だったりすることも…。もう少し沢山、チェコのイラストレーターを起用した書籍だしてくれないかな~~。
さて、Baobab社この夏の新作は??
とわくわくしながらウェブサイトを見ましたが…。
今年はまだ一冊も出てない!!
やっぱり新型コロナウイルスの影響でしょうか…。
http://www.baobab-books.net/knihy
Běžíliška/ ビエジーリシュカ:職人の仕事を求める出版社
「キツネが走る」という名前の出版社。皆が小さい時には必ず歌うチェコの童謡「キツネがターボルに向かって走る」からとった名前かもしれません。
児童書専門の小型出版社。内容、挿絵、装丁、どれをとっても丁寧な仕事のものだけを出版するというポリシーに沿って活動されています。
こちらは今年に入って5月と6月に計3冊を出版。やはりコロナウイルスが影響したようなタイミング。うち1冊はウイルス感染の広がりをテーマにしています💦
https://www.beziliska.cz/novinky
私の、この出版社との出会いは、片手の中に納まるほど小さな絵本。
きれいなイラスト、手にしっくりくる紙質で思わず手に取りました。
小さいけど中身がギュッと詰まっていて、とっても素敵。
この手のひら絵本Mikroliška(ミクロリシュカ)以外の普通の絵本も、皆かわいいです!
Labyrint/ ラビリント:選りすぐった書籍を出版
こちらも小型出版社。創立から25年の会社。文学、児童書、コミックスを扱ってます。出版数はさほどおおくないものの、少数精鋭の気配。翻訳ものも結構あります。チェコを代表する児童書作家のひとり、ペトル・シース(Petr Sís:在アメリカのチェコ人児童書作家)の挿絵の物は、国内では現在ここからしか出版していません。
ここから出ている児童向け雑誌「RAKETA」は大人にも読みごたえあり。
児童書の今年の新刊本は今のところないみたいです。
MEANDER/ ミーンダー:よい書籍は後世に残る
こちらも、最近の小型児童書出版社の先駆け的存在で、1995年創立。
「美しい書物は後世に残る」という信念のもと経営されています。
創設者はもともと経済畑を専門にしていたイヴァ・ペハーコヴァーさんという方。
挿絵が美しいものが多いのみならず、こちらは比較的内容に哲学性を求めているような…。子供向けに聖書のお話のシリーズもだしています。
新刊本、結構出てます!
下記のページ掲載の本の右上にNOVINKYと書かれたものがそれです。
https://www.meander.cz/novinky/
ど、どれもかわいい…🤤
というわけで、まだ出版社はあるのですが、独断と偏見で上記5社のご紹介とさせてください。
ちょっとはチェコ絵本の世界に浸れたかな?
チェコ絵本挿絵☆パツォフスカー 画家としての世界
こんにちは、もりのさんぽです。
前回、パツォフスカーさんの挿絵ってこんなんよ💛って話を書きました。
今日は2015年ー2016年と2019年ー2020年にプラハで行われた、彼女の2つの展覧会をご紹介します。
私個人は、絵画が好きでよく鑑賞するのですが、専門家ではないので専門的表現はできません。
それでも、パツォフスカーさんの作品の魅力をお伝えできればなぁと思います。
- 1. 色が躍る、なんだか楽しい💛「maximum contrast」2015年11月11日ー2016年3月27日
- 2. 不思議な奥行きの世界…「UTÍKEJTE NA KONEC/ RUN TILL THE END」2019年10月2日ー2020年3月1日
- 3. とにかくカワイイ!2000年以降の絵本作品「THE SUN IS YELLOW」
- 4. 終わりにーパツォフスカーさんって一体…。
1. 色が躍る、なんだか楽しい💛「maximum contrast」2015年11月11日ー2016年3月27日
パツォフスカーさんは、プラハ工芸美術大学(Vysoká škola Uměleckoprůmyslová/ ヴィソカー・シュコラ・ウムニェレツコプルーミスロヴァー)で、チェコキュビズムの巨匠であるエミル・フィラ(Emil Filla)の下で学びました。
その芸術家としての歩みが凝縮された魅力満載の展覧会が、「maximum contrust」。
会場は観光地ど真ん中、プラハ市図書館本館内にあるプラハ市ギャラリー。
1967年から2014年までの作品群に埋められた会場は、はっきりした色が、鑑賞者に寄り添うような人懐こさで踊っていました。
パツォフスカーさんの作品は、幾何学的絵画の技法に基づいていて、シンプルなライン、はっきりした色で構成されています。絵画だけでなくオブジェもありましたが、そこで使う材料も様々。
制作年代ごとに、画集から少し紹介しますね。
年代問わず一貫したものを感じませんか?
イラストにあるのと同じような画面の奥行き、そのシンプルな構成でかえって色が引き立つため、強烈な印象を受けます。
彼女の作品を知ったのがイラストからだからかもしれませんが、直線と点、色で構成された世界に、遊び心と温かさを感じます。
2. 不思議な奥行きの世界…「UTÍKEJTE NA KONEC/ RUN TILL THE END」2019年10月2日ー2020年3月1日
そして、今年春まで5か月間ほど開催されていた展覧会。この展覧会は、「maximum contrust」で紹介しきれなかった初期の作品をフィーチャーしたものです。
1960年から70年代にかけての作品群で、過去1度しか展示されていなかったもの。
パツォフスカーさんのファンにとっては、必見でした。
作品の多くが、実験的コンセプトを持つ、ドライポイントによるエッチング。当時、作品に用いる材料を製鉄所へ買いに行っていたそう。購入した時点から材料についていた傷も、素材のもつ物語の一部として生かされています。
見ていると、線画を施していない部分に空間を感じるんですよね。パツォフスカーさんを「色彩の魔術師」と評している記事を見たことがありますが、どちらかというと「空間の魔術師」と呼びたくなります。絵の施されていない空間に、何かが隠されているような気がします。
3. とにかくカワイイ!2000年以降の絵本作品「THE SUN IS YELLOW」
ここで、挿絵に話をもどして。
じゃーーん!
結構最近手に入れました。パツォフスカーさんの仕掛け絵本!
「THE SUN IS YELLOW」
2012年にイギリスの出版社、TATEから出版されたものです。
なぜか最近、チェコではあまりパツォフスカーさんの挿絵で絵本がでてないんですよね⁻;)。
モノクロの世界に入り込んだカタツムリが、カエルと一緒に色を見つけるお話です。
ちょーーっとだけ、ご紹介💛
「こんな白と黒ばかりの世界なんて!」
「色の下に何か隠れてるよ」
「色のある世界はなんてすばらしいんだ!」
眺めているだけで幸せになる本です💛
初期のイラストより、色味がはっきりしています。
パツォフスカーさんは、「絵本は子供にとって初めてのギャラリー」と考えていらっしゃるとか。こんなギャラリーに巡り合えたら、子供の好奇心掻き立てちゃうこと間違いなし。
4. 終わりにーパツォフスカーさんって一体…。
パツォフスカーさんって、キャリア長いと思いませんか?
1960年代から画家として活動されてるんです。
気になりますよね~~、どんな方か。
こういう方です↓
1928年生まれ。なんと、今年2020年で御年92歳です。
すごい!かっこよすぎる…。
今回、改めてパツォフスカーさんの作品を見直してみて、ますまずほれ込んでしまいました💛
こんな感じでチェコの絵本挿絵の作家さん達をたくさん紹介していきますね!
あー、自分でも楽しみ^^)
チェコ絵本界の大御所☆クヴィエタ・パツォフスカー
こんにちは!
初めての投稿から10日以上経ってしまいました💦
どのイラストレーターについて、どう扱おうか考えていたのもあるのですが。
ただいまチェコは新型コロナウイルス感染予防で学校休校、外出制限真っ只中!!
子供達が家に居るので、先生代行と給食のおばさんをやっていると、あっという間に1日が過ぎちゃうのです(>_<)。
それはさておき。
初回で触れたので、やはりチェコのイラストレーターと言えばこの人!ってぐらい
「王道」の、
クヴィエタ・パツォフスカー(Květa Pacovská) さんの作品についてつらつら書いてみたいと思います。
パツォフスカーさんはグラフィック・アーティストとして国内外で、いちいち名前を挙げるのも大変なくらい様々な賞を得ている方です。
本のイラストレーションについていえば、1992年に国際アンデルセン賞を受賞するなど、とにかく輝かしい功績を残されています。
日本でも評価は高く、安曇野の「安曇野ちひろ公園」には、パツォフスカーさんのコンプトによる「パツォウスカーの庭」があるんですよ!
ちょっと親近感わきませんか(^_-)-☆
追記:このブログをアップしてすぐ、4月29日開催のCzech Grand Design 2019で、パツォフスカーさんがイラストレーター、グラフィックデザイナーとしての功績をたたえられ、殿堂入りされたニュースを 読みました!おめでとうございます!!
ページのトップにある画像は、私が育休を終え、自営業として最初にいただいた大きなお仕事の後に、自分へのご褒美として買ったシルクスクリーンです(娘が拾った桜の落ち葉も一緒に額に入ってますが^;)。
古本屋で見かけて一目惚れしちゃいました💛
後から調べたところでは、1985 年にアルバトロス社から出版された、アンデルセンの「すずの兵隊」の絵本パックに収められている10枚の絵のうちの1枚のよう。
…うーん、セットで欲しい…(´ε`;)
パツォフスカーさんのイラストのキャラクターはデフォルメされていて、特にころんとした体形のものが目を惹きます。
たとえばこれ ↓
これは、1981年制作のリトグラフ。子供向けに、ABCDを覚えやすいように絵にかいたもので、Malovaná Abeceda(マロヴァナー・アベツェダ)、「絵で見るアルファベット」って感じの題がついてます。
本来75cmx56.5cmの大きさですが、私が持っているのはハガキなので、その一部を画像に撮影しました。
ほら、OやRの絵にあるような、ボーン!とおなかが出た、風船のようなキャラクター。
彼女のイラストでは、こんなデフォルメされたキャラクターが、紙面に浮くように配置されています。
その構図が絶妙。
トップのシルクスクリーンの画像では、紙の白が生きて、キャラクターが浮くような「空間」を感じませんか?
彼女の絵を見ると「不思議の国のアリス」を思い出しちゃうのは、私だけでしょうか。
コロンとしたキャラクターは、なんだかハンプティ・ダンプティを思わせます。
パツォフスカーさんについては、まだ続きます^-^)。
次回は、2015年、2019年に首都プラハギャラリーが開いた、彼女の展覧会の様子について書いてみたいと思います!
私とプラハと絵本のイラストと。
はじめまして。「もりのさんぽ」です。
こんなのがある街です↓
愛すべき風景たちも、私がこの街、この国にいる理由の1つ。
でも、それ以上に 心躍っちゃう のはこれ!
私のコレクションの1部です💛
特に 絵本のイラスト が大好き!
日本の雑誌やテレビでもたまに、「チェコの雑貨」「アンティーク」って取り上げられてますよね。
チェコの応用美術には、独特の空気感というか、世界観があります。
チェコ絵本のイラストに出会ったのは、たしか1993年。
当時、プラハの真ん中、ナーロドニ―・トシーダ(Národní Třída)というところに、児童書の老舗出版社「Albatros(アルバトロス)」の本屋さんがありました。
そこで出会った絵本のイラストの世界は、私にとって未知の世界だったのです。
(*出版者は今も健在、児童書も出版していますが、残念ながらナーロドニ―・トシーダの本屋さんはありません)
特に、
アドルフ・ボルン (Adolf Born) の挿絵。
そして、
クヴィエタ・パツォフスカー(Květa Pacovská)。
彼女は日本でも何度か個展を開いています^^)。
…なんじゃこりゃーーー!って感じでした。
当時まだ中世を彷彿とさせるような空気を抱えていたプラハ。そんな街の雰囲気をなぞらえるかのようなラインを持つ、ボルンのイラスト。
パツォフスカーはカワ(・∀・)イイ!!のに、裏に何かをはらむミステリアスな感じ。
学生時代の2度の東欧旅行の影響でチェコにあこがれるようになった私は、この時の旅行から数年経った後にプラハに住み始めました。
彼らの絵から受けた衝撃は、住むようになって以降も、私の中でプラハのイメージを形作り続けたと言ってもいいかもしれません…
そんなわけで。
このブログでは、主に愛する絵本のイラストを中心にしたチェコデザイン、そしてたまに、苦闘の連続ながらも愛すべきチェコの日々などについて記してゆきたいと思います。
どうぞよろしく!!